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タシロラン ラ ン 科 トラキチラン属 田代善太郎先生が明治39年7月、長崎県諫早市城山で初めて発見し、牧野富太郎博士がタシロランと命名した希産のラン科の腐生植物。関東南部以南の本州、四国、九州から熱帯アジア、熱帯西アフリカ、オーストラリアなど南方へ分布する。最近、唐津市内で県内初となる自生地が2カ所発見され、話題となっている。シイやタブ林内に生え、全体が白黄色である。 この植物については、新種として十数の発表がなされたが、現在では、すべてタシロランであるとされている。(津山尚:植物研究雑誌42:295-311,1967) |
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花部の拡大 |
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タシロランは腐植に富んだ地下に根茎があり,これから葉緑素を持たないはなはだ短命な茎を立てて花をつける。花はやや閉じぎみに開き,がく片と側花弁とはほぼ同形、唇弁には比例的には太くふくれた距がある。ずい柱は短く、頭部は肥大。 田代善太郎日記挿絵には、タシロランの観察結果を次のように説明している。 |
. | 葉はほとんど退化,いきなり花をつける菌根植物。梅雨あけの7月上旬ごろ乳白色の茎が土から頭をもたげ,下部から開花。上部の花の咲くころには下部ではすでに果実が成熟し,粉のように小さな種子が無数に散る。上部が咲き終るとすぐに枯れてしまうので,地上の姿が見られるのはわずかに10日間ぐらい。 |
タシロラン | ||
群落 | . | 薄暗いシイ林下のタシロラン |
花の拡大 | ||
子房が膨らんでいる (写真撮影:川浪 誠) |
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